【「就活セクハラ」で企業・大学・運営企業を叩いても、学生は救われない】私も学生・就活生サービス運営責任者として守れませんでした

こんにちは。
採用情報のコンサルタントの佐野創太(@atsuhiko_kamiya)です。

「OB・OG訪問を悪用しての就活セクハラ」の報道が一斉にされています。

Business Insider Japanの竹下郁子さん(@i_tkst)が
とても丁寧な記事を公開してくださっています。
しかも「就活セクハラ緊急アンケート」もついています。
学生の方だけでなく、社会人の方も情報提供できるものですので、
情報をお持ちの方はぜひご回答ください。
一つの定性的な声で、力のある組織が動くことがあります。
OB訪問で自宅や個室で性行為強要、2人に1人の学生が就活セクハラ被害に。「選考有利」ちらつかせ
深刻化する就活セクハラ。OB訪問や泊まり込みインターンが温床に【就活2019】

こうして社会問題化してくださることで、
被害に遭われた方が一人でも救われますように。
恐怖を覚えた人が何か対策をできるようになりますように。

ということで、本日は企業、大学、サービス運営企業を叩いても意味がない理由、
「短期的対策」は学生がする必要がある理由とその内容を書きます。
今後の就活セクハラ問題を議論する際の、
叩き台にしていただければと思います。

本日の音声動画はこちらになります

「それってごく一部じゃないの?」への反論

まずこうして社会問題化した時の横槍の代表例である、
「それってごく一部じゃないの?」を検討します。

記事によると以下のような結果が出ています。

アンケート調査は、その記事の末尾につける形で2月12日〜15日(4日間)に実施、約300人から回答が寄せられた。以下にその結果をまとめた(%は小数点以下切り捨て)。

回答者の内訳は女性が236人、男性が59人、その他が6人。年齢は20〜24歳が約7割で、学生が全体の約6割を占めた。

就職活動中にセクハラにあったことがあると回答した人は146人。約半数が被害にあっていた。
※引用:OB訪問で自宅や個室で性行為強要、2人に1人の学生が就活セクハラ被害に。「選考有利」ちらつかせ

「就職活動中にセクハラにあったことがあると
回答した人は146人(300人回答)」という数字は
多いのでしょうか。少ないのでしょうか。

就活生の人口は一般的には30万人~40万人程度と言われています。
ただ、正確な数字は取れないという見解もあり、
新成人のデータを参照するケースがあります。
その場合は「男性は64万人,女性は61万人」となります。

新成人人口(平成10年生まれ)は125万人で前年比2万人増
男性は64万人,女性は61万人

※参照:総務省統計局「亥(い)年生まれ」と「新成人」の人口-平成31年 新年にちなんで- (「人口推計」から)

なので、概算して40万人程度が就活生という前提で見た時に
「就職活動中にセクハラにあったことがあると
回答した人は146人(300人回答)」という数字は0.03%となり、
この数字だけ見ると少ないと考える人もいるかもしれません。

ただ、300人回答中の146人ということは
潜在的には半数の学生の方が就活セクハラの被害に遭っている可能性があります。
そう考えると就活生40万人のうちの20万人が
被害に遭っている可能性もあるといえます。

さらには、記事にもありますように、
自分の中でしまい込んでしまう方もいらっしゃいますので、
「146人、0.03%」という数字は氷山の一角です。

それに、これは顕在化している数字よりも
この実態によって与える学生の方への影響を考慮に入れる必要がある問題です。

新卒学生の方は企業にとっても戦力もしくは労働力ですから、
その存在が「社会に出たくない」と考えれば
長期的に経済に影響を与えることになります。

顕在化した数字「146人、0.03%」以上に
この問題は検討される必要があるはずです。

企業には防止策を期待できない理由~0.0125%の事故率~

ここは整理する必要があります。
責任は企業側、もっといえば問題を起した社員にあるでしょう。
約8000名の大林組のうちの一人が問題を起しているということは
0.0125%の事故率なのです。

この確率、どれくらいなのかよく分からないので
ざくっと調べてみると法務省の携帯ページに辿り着きました。
このデザインのレトロ(?)さ。

Q8
裁判員等に選ばれる確率はどれくらいですか?
A8
だいたい8,700人に1人程度です。
※出典 Q8 裁判員等に選ばれる確率はどれくらいですか? | 法務省ホームページ(携帯版)

大林組の社員が就活セクハラを起した確率は
裁判員に選ばれる確率と近いものでした。

この確率で、普段から裁判員に選ばれた時のために
勉強している人は少ないでしょう。

ということは企業も0.0125%のために
万全の体制を整えるとは考えにくいのです。
期待しない方が防衛策は浮かんできます。

もちろん、数字の大小ではなく影響力で考えるべきですので、
本来は体制は整えるべきです。
大林組ほどのリスクに敏感そうな会社でも起きるのですから、
学生の方から見たら「あの会社で起きてるのに
御社は対策を取っていないんですか?」というように見えます。

大学・キャリアセンターは学生を守ってくれるのか?~「就職内定率」という足かせ~

今の就職内定率が大学にとって「入学者が集まる理由」となっているうちは、
大学は企業にとって抗議をすることはないと考えた方が、対策は浮かびます。
特に今回のように有名企業である場合は、大学にとっては得意客のようなものですから
抗議することで「入学者が集まる理由」を手放すことはしないでしょう。

では、大学はどうすればいいかというと
「大学職員の意識改革」のための「就活セクハラ防止研修」、ではありません。
こういった認識を改めることや属人になる解決策は
中長期的に効果を生むものです。
2020年卒、2021年卒の学生の方を救えるほど即効性はないでしょう。

それでも、twitterを見ていると、個人で動いてくださる方もいるようです。
そういった方の草の根の運動が直近の2020年卒、2021年卒の学生の方を救います。

そのため、結論は中長期的には
「就職内定率」という企業に依存する仕組みから脱却する必要があります。
それは、大学が企業において交渉力を持てる指標を模索することです。
短期的には大学職員お一人ひとりに委ねることになります。

ひとつは「守りの就活」という概念を導入することです。
「就職内定率」を上げるキャリア授業などはいわば「攻め」です。
ただ、例えばブラック企業の見極め方や労働法の知識といった
「守りの就活」は「攻めの就活」ほどの存在感はありません。

大学は学生の方に、保護者に「我が校は守りの就活にも力を入れています」と
発信する時期に来ているのではないでしょうか。

私も学生・就活サービスを運営していて、守りきれませんでした

これも大林組が0.0125%の事故率のために
仕組みを整えることは期待しない方が良い理由と同じです。
OBG訪問サービスやインターンシップサービスを提供している会社が
その確率のリスクのために、事業にコストをかけることは期待しない方が現実的です。

私もインターンシップサービスを提供していた立場で
こういったセクハラの実態を目の当たりにしたことがあります。
学生の方がインターン先の企業の社長に
カラオケルームでキスを強要されるといった内容でした。

学生の方がすぐに相談してくださったので、
学生の方にすぐに会って学生の方に「あなたに責任は全く無いこと」、
「連絡先は全て遮断すること」、「万が一何かあったら
佐野と会社の名前を使って良いこと」などを話して
対応に当たることができました。

しかし、企業側には利用規約違反を理由に契約解除を申し出た程度で
法的に何か訴えるなどの動きは取れませんでした。
これは私自身の保身もあったかと思いますが、
サービス運営企業のひとつの本音として
記録させていただければと思います。

就活サービスはリクナビやマイナビなどの
大規模な仕組みになっているサービス以外は、
ほとんどの場合は少人数で運営されています。
社員数名とインターン生という場合も珍しくありません。
そういった体制の中では「リスク管理」の考え方は、
どうしても弱まってしまいます。

そのため、企業、大学に短期的に学生の方を救う施策を期待できないように
サービス運営企業にも求められない構造になっています。

就活生の方へ:学生しか学生を救えない

企業も大学も、サービス運営企業すらも
即効性のある解決策は出せないとしたら、
学生の方はどうすればいいのか。

学生自身が何とかするしかないのが現状です。
企業や大学、サービス運営企業の変化は
あなたが就活をする1年程度の期間では起きません。
ただし、責任は学生の方にはないということは
何度でも発信されるべきことです。

これから万が一にでも被害に遭ってしまった場合に、
周りのサポートが驚くほどなくとも
「自分が悪い」とは考えないでください。
責任は問題を起した一部の人間にあります。

では、即効性のある守り方は何なのか。

会う場所は必ず日中のカフェなどの「人がいる場所」、
「密室、個室ではない場所」に限る。
かつ、時間帯は「17時には終わるようにする」などにして
「ご飯行きますか?」という流れを作らせないようにする。
一人ではなく複数人で行く。

このように仕組み(といっても自力ですが)で対応するようにしてください。

あとは、事を荒げてください。
周囲の友達、先輩、親、大学、先生などなど。
私でも構いません。
それこそ、Business Insider Japanの竹下郁子さん(@i_tkst)に連絡するなども
救出策の一つになるはずです。

編集後記~就活セクハラ問題の「交通整理」~

本日は就活セクハラを議論する際の
一つの交通整理をしました。
下記4点にまとめます。
(1)学生に責任はない。責任は問題を起した社員、対策を打てなかった企業、守れなかった大学、管理できていないサービス運営企業にある
(2)けれど、学生を守るのは学生であるという現状
(3)社員、企業、大学、サービス運営企業が変わるには時間がかかる
(4)短期的と長期的という軸と、仕組みと属人的という4つの軸で解決策をつくる必要がある

企業叩き、大学叩き、サービス運営企業叩きに注目が集まって、
その裏で救われない学生の方が増えることが未然に防げますように願っています。
何度も書きますが、3者は動きが遅いので、
どれだけ鋭く批判しても今目の前の学生の方が救われることはありません。
3者を糾弾するよりも、学生の方に武器を持たせることが先です。

上からの物言いで大変恐縮ですが、
メディア関係者の方、発信力のある方も
くれぐれもご留意ください。
また、学生の方の側にいる方は武器を持たせることに
時間を費やしていただければと思います。

私にも、サービス運営企業にいた身で学生の方を
守る仕組みを作れなかった罪があります。
一方でサービス運営企業側の本音や体制は見えています。
お力になれることがありましたら、お気軽にご連絡ください。

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